ヤマニ醤油高田営業所、勝手に応援団

岩手県・陸前高田で愛され続ける“おいしい醤油”、その超非公式ガイド

ヤマニ醤油の「御用聞き」に同行しました

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故あって岩手県陸前高田のうまい醤油屋さん「ヤマニ醤油高田営業所」の回し者となった自動車ライターの伊達であります。今回はヤマニ醤油の「御用聞き」に同行してみた模様をご報告します。

 

 

 

 

ヤマニの醤油はスーパーマーケットなどには卸しておらず、震災前は昔ながらの「御用聞き」スタイルで販売されていました。で、5年前の震災で一度は醤油づくりも会社そのものめちゃめちゃになってしまったのですが、その後、このブログでたびたび紹介している元ヤマニ醤油従業員の鈴木泰治くんが一念発起して「ヤマニ醤油高田営業所」を自身で設立。震災前からずっと親しまれている「ヤマニの御用聞き」が、ついに復活したのです。筆者の記憶は定かでないですが、たしか3年ぐらい前のことだったと思います。

 

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で、とにかく同行してみます。本日回るのは上の地図の下のほうにある黒いぽっちのところ、気仙沼の唐桑というところです。おなじみ「奇跡の一本松」を南にダーッと下っていったあたりにあるのどかな場所ですな。

 

 

f:id:sgt_date:20160422170735j:plainしかしここにも津波は来てたんだなあ……。ヤマニ営業車の後ろに見えている「過去の津波浸水区間 ここまで」という看板は、陸前高田市や気仙沼市の至るところにあります。というか、三陸沿岸はどこにでもあります。胸が痛みます。

 

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まず伺ったのは、高台にある新しい作りの家。いちいち聞きませんでしたが、元々の家を津波でなくし、この高台に新しく家を建てたのでしょうか。わかりませんが、そんなことを感じさせる新しさでした。

 

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 「○○のばっぱ、醤油とつゆ、今月は何本にする?」

 

やっちゃん(鈴木泰治くん)が、カギもかかっていない扉を開けて玄関に入っていき、家のおばあさんにそう尋ねます。

 

「薄口が2本と、つゆが1本だなぁ」

 

ばっぱがそう答えます。ちなみに「つゆ」というのは「ほんつゆ」の略称。今回同行させてもらったお宅の方々は皆さん1000ml入りのビンではなく1升のペットボトル入りを買っていました。御用聞きが毎週来るわけではないですから、やはり容量がデカいやつを買っておいたほうが何かと便利なんでしょうね。 

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ばっぱと世間話をしつつお代をいただき、領収書をお渡しし、次へ向かいます。

 

向かった先はいわゆる仮設住宅。いまだ何箇所もある仮設住宅の、唐桑地区にあるところでした。で、とにかくやっちゃんは走る! 佐川急便のように!

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「走らないと間に合わないスからね~!」

 

顧客台帳に基づきダッシュで仮設住宅の各戸を回って注文を取り、またダッシュで営業車に戻って醤油やつゆを取り出し、再びダッシュでお客さまのところへ。そして(基本的には家にいることが多い)ばっぱと諸々の話をしつつ、お代をいただいてお礼をいい、またまたダッシュで車に戻ります。ハッキリいってわたしはヒザがもうガクガクです。運動不足です。

 

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でもあれだ、仮設住宅に入ったお客さんたちはその後災害公営住宅に移ったり、自分で家を建てたりで、仮設住宅も今はずいぶん歯抜け状態になっています。

 

 

お次は山の上のほうにあるお宅へ。

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……柿ですね。すみません、同行したのは実は昨年秋のことで、レポートするのが遅くなってしまったのであります。押忍。

 

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ここでもばっぱの話をしっかり聞きつつ、醤油の御用聞きをします。お客さんの家に行っても、「や、今回は要らないわ」みたいなことを言われることもあるのだろうなと思っていたのですが、そういったケースはゼロでした。昔から使っているヤマニの味を愛しているからというのもあるでしょうし、東京などと違って(特に唐桑のこのあたりは)近くにスーパーマーケットなどありませんから、醤油に関してはやっちゃんの御用聞き&デリバリーが頼りなのでしょう。とにかく「地元の人たちに愛されてるんだなあ」ということをひしひしと感じました。

 

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こんな感じで「納屋のところに置いといて~」というお客さんも多かったです。そこらへんに置いといても盗る人なんていないからでしょうね。そもそもどの家も玄関にカギかかってないし。そういえば東京も、わたしが子供の頃まではあんまり玄関のカギってかけてなかったような気がします。

 

 

その他多くのお客さんのところを回り、陸前高田市内にある「ヤマニ醤油高田営業所」に戻ってきました。時刻はたしか17時半ぐらいだったでしょうか。

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お金の集計と管理を含むもろもろの事務作業を行います。前は事務のパートさんがいましたが、今はやっちゃん1人でこの営業所を切り盛りしています。

 

で、すべての作業が終わり、この日の業務はおしまいです。やっちゃん、お疲れさまでした。

 

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「ありがとうございます! まぁ地元ではこんな感じで営業をしています。東京やその他地域の皆さんに買っていただく場合はどうしても送料がかかってしまうので心苦しいのですが、もしもそれでもよろしければ、ぜひヤマニの醤油を試してみていただけましたら幸いです。まだ昔(震災前)の味に完全に戻っているとは言いがたいですが、とにかくがんばって『陸前高田のヤマニ醤油』という火を消さないよう努力します!」

 

ヤマニの「上級醤油」「ほんつゆ」「白だし」は、ネットではなく(高田営業所は注文用サイトがないんです)、祝日を除く月~土曜日のビジネスアワーに電話またはFAXでヤマニ醤油高田営業所までご注文ください。電話/FAX番号は下記であります。押忍。

 

ヤマニ醤油高田営業所

tel.0192-47-4347 fax.0192-47-4348